その人に頼んで、会社は変わるのか

前にnoteで、「仕事ができる人が、ちゃんと出世しているのか」ということを書きました。

役職は、その会社の中での評価です。

大企業で部長や役員になった人には、そこまで上がるだけの能力があります。

けれど、それが「どこへ行っても同じように仕事ができる」という証明になるとは限りません。

大企業で成果を出せた背景には、優秀な部下がいた。

整った制度があった。

会社の看板があった。

予算もあった。

そうした環境を使って成果を出すことも、もちろん能力です。

ただ、その力と、何もないところから仕事をつくる力は、同じではありません。

そして、この話は、会社が外から人を招くときにも当てはまります。

顧問を頼む。

コンサルタントに依頼する。

専門家に助言を求める。

そのとき、何を見て、その人を選んでいるでしょうか。

経営コンサルタントや顧問の選び方を考えるとき、実はここがいちばん大切なのかもしれません。

経営コンサルタントや顧問に、何をしてほしいのか

外部の専門家を選ぶとき、まず目に入るのは経歴です。

大手メーカーで役員だった。

有名企業で部長を務めた。

業界で長い経験がある。

その経歴は、本物です。

長い間、その場所で評価され、役割を果たしてきた証でもあります。

だから、その人の経験や知見に価値がないと言いたいわけではありません。

むしろ、大きな組織でしか得られない経験もあります。

多くの人を動かした経験。

大きな投資を判断した経験。

難しい局面で意思決定をした経験。

そうしたものが必要な会社もあります。

ただ、一つだけ先に考えておいた方がいいことがあります。

自社は、その人に何をしてほしいのか。

経験を聞きたいのか。

経営者の相談相手になってほしいのか。

対外的な信用を補いたいのか。

それとも、現場に入り、一緒に手を動かしてほしいのか。

ここが曖昧なまま、「すごい経歴の人だから」と選んでしまうと、思っていた支援とは違った、ということが起こります。

大企業で使えたやり方が、そのまま使えるとは限らない

大企業には、大企業なりの仕事の進め方があります。

専門部署がある。

情報が集まる。

システムが整っている。

必要なら人を増やせる。

外部の専門家にも頼める。

組織として仕事を進める仕組みがあります。

だから、管理職になるほど、自分ですべてをやる必要はありません。

むしろ、自分でやらず、人や仕組みを使って成果を出すことが求められます。

それは、大企業では正しい仕事の仕方です。

けれど、人も足りない。

予算も限られている。

仕組みもまだない。

そんな会社に、そのやり方をそのまま持ってきても、動かないことがあります。

「担当部署に任せましょう」

と言われても、その担当部署がない。

「専門家に確認しましょう」

と言われても、社内に専門家はいない。

「まずデータを整理しましょう」

と言われても、そのデータ自体が残っていない。

大企業では当たり前だった前提が、中小企業では存在しないことがあります。

だから、大企業で何をしてきたかと同じくらい、

いま目の前にある条件の中で、何ができる人なのか。

そこを見る必要があります。

見えるものほど、評価しやすい

外から人を選ぶとき、私たちはどうしても、見えやすいものから判断します。

肩書。

経歴。

登壇実績。

出版歴。

話のうまさ。

分かりやすい実績。

こうしたものは、外から確認できます。

そして、それを見ること自体は間違っていません。

会社の重要な課題を任せるのですから、経験も専門性も確認するべきです。

ただ、見えやすいものほど、実力のすべてであるように感じてしまう。

ここには少し注意が必要です。

大手企業で役員だった。

それは見える。

講演がうまい。

それも見える。

けれど、自社の現場に入ったとき、

現場の人の話を聞けるか。

分からないことを分からないと言えるか。

限られた条件の中で考えられるか。

実際の数字を見て、問題の構造まで降りていけるか。

会社ごとに違う事情に合わせて、自分のやり方を変えられるか。

こうしたことは、経歴書だけでは分かりません。

見えやすい信頼性と、現場で効く実務は、必ずしも同じではありません。

肩書で選ぶな、という話ではない

では、肩書を見るべきではないのでしょうか。

そうではありません。

肩書には意味があります。

役職には、その人が積み重ねてきた経験があります。

有名企業で重要な役割を担ってきた人だからこそ、見えているものもあります。

経営者の相談相手として、そういう経験が必要なこともあるでしょう。

社外に対して信用を示すために、その人の肩書が役立つこともあります。

だから、「肩書で選ぶな」という話ではありません。

順番の話です。

最初に見るべきなのは、相手の肩書ではなく、自社の課題です。

自社はいま、何に困っているのか。

何が分からないのか。

誰が動けていないのか。

何が足りないのか。

そこが分かって初めて、

では、どんな人に力を借りるべきなのか、

という話になります。

相手の経歴から先に入ると、

その人ができることに、自社の課題を合わせてしまうことがあります。

本来は逆です。

自社の課題が先にあって、

それを解くために必要な人を選ぶ。

それだけのことなのだと思います。

同じ費用でも、買っているものは違う

外部の人に払う費用も、同じです。

高いか、安いかだけではありません。

何に対してお金を払っているのか。

そこを見る必要があります。

大きな看板を持つ人に依頼すれば、

長年の経験。

名前の信用。

人脈。

過去の実績。

そうしたものも含めて買っていることになります。

一方で、現場に入り、実務を一緒に進めてもらうのであれば、

その人の時間。

考える力。

調べる力。

現場で動く力。

そうしたものに費用を払っています。

どちらが正しいという話ではありません。

自社が何を必要としていて、

何にお金を払っているのかを分かっているかどうかです。

これは、調達と同じです。

安いものを選べばよいわけでも、高いものなら安心というわけでもない。

必要な価値を見極め、その価値に対して対価を払う。

外部人材を選ぶことも、一つの調達だと思っています。

我々も、選ばれる側です

ここまで書いておいて、少しだけ自分たちのことも書いておきます。

RE:GENも、外から選ばれる側です。

「調達30年以上」

「大手メーカーでの調達経験」

「国内外のサプライヤーとの実務経験」

そう書けば、それもまた、外から見える「選ぶ材料」の一つです。

ただ、その経歴だけで選ばれたなら、たぶん十分ではありません。

大手メーカーでやってきた方法が、そのまま中小製造業の現場で使えるとは限らないからです。

人も違う。

仕組みも違う。

取引先との関係も違う。

資金の余裕も違う。

だから私たちが大切にしているのは、

「大手ではこうしていた」

という答えを持ち込むことではありません。

その会社の現場を見て、いま何が起きているのか。

何が利益を圧迫しているのか。

どこに判断の根拠がないのか。

何なら実際に動かせるのか。

そこから一緒に考えることです。

人に「肩書だけで選ぶな」と言う以上、

自分たち自身も、肩書だけで選ばれることに甘えてはいけないと思っています。

まず、自社に何が要るのかを見る

外部の人を選ぶとき、

どうしても「誰がいいか」から考えてしまいます。

けれど、本当はその前に、

「自社に何が要るのか」

を考える必要があります。

信用や権威が必要な場面なら、それを持つ人を選べばいい。

経営者の相談相手が必要なら、その経験を持つ人を選べばいい。

専門知識だけが必要なら、その分野の専門家を選べばいい。

現場を変えたいなら、現場に入れる人を選ぶ。

必要なものが分かれば、選ぶ相手も変わります。

私たちが大切にしているのは、看板を貸すことではありません。

現場に入り、数字と事実を見ながら、

「この会社では、何を変えれば利益につながるのか」

を一緒に考えることです。

とりわけ調達や原価の領域では、

「もっと安く買いましょう」という話にはしません。

売る値段から、必要な利益を先に取り置いて、

そこから逆算して原価を考える。

RE:GENでは、その考え方を「理論原価」と呼んでいます。

外部の人を選ぶことも、これと同じです。

誰が有名かではなく、自社に何が必要なのか。

そこが決まって初めて、誰に頼むべきかが見えてきます。

課題を決めてから相談するのではなく、何が課題なのかを見つけるところからでも構いません。

「何を頼むべきかも、まだ分からない」

その段階から、一緒に整理していくこともできます。

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