1. 導入:理系じゃないと無理?という誤解
「自分は文系だからバイヤーは無理かもしれない」
「理系じゃないと図面も分からないし不利だろう」
ものづくり業界でバイヤーを目指す人から、よくこんな声を聞きます。確かに「ものづくり=技術=理系」というイメージは根強いですが、これは半分正しく、半分誤解です。実際には、理系・文系どちらの出身でも活躍できる人材が数多くいます。
では、バイヤーに本当に必要な力とは何でしょうか。
2. 理系・文系論争の背景と強み
まず、理系・文系それぞれの強みを整理してみましょう。
- 理系の強み
- 図面や仕様書を理解する力
- 技術的な会話ができる
- データ分析やロジカルな判断
- 文系の強み
- 交渉や調整のコミュニケーション力
- 経済や市場動向を読む力
- 文章力やプレゼン力
どちらもバイヤー業務に直結します。図面を読む力があれば、サプライヤーとの技術的議論で優位に立てますし、交渉力があれば同じ技術をより有利な条件で導入できます。
3. 実例:理系出身と文系出身、それぞれの成功
理系出身バイヤーの成功例
ある自動車部品メーカーでは、理系出身のバイヤーがエンジニアと一緒に設計段階から入り込みました。図面上で材料を見直し、サプライヤーと加工方法を検討。結果として量産前にコストを15%削減し、設計変更もスムーズに進みました。
文系出身バイヤーの成功例
一方、文系出身で英語に強いバイヤーは、海外調達で力を発揮しました。新しいサプライヤーを発掘し、文化の違いを理解しながら信頼関係を構築。結果的に価格だけでなく安定供給のルートを確保し、全社的に大きな貢献を果たしました。
──出発点は違っても、成果を出すために使っているのは共通のスキルです。
4. 【結論】必要なのは「知ったかぶり力」
理系か文系かではなく、バイヤーに本当に必要なのは「知ったかぶり力」です。
ここでいう「知ったかぶり」とは表面的な知識ではなく、情報を吸収し、自分の言葉で語れるまで理解し、相手に伝えられる力です。
具体的には次の4つに分けられます。
- 学習・探求力:新しい技術や市場を自ら学び続ける
- 質問力・傾聴力:サプライヤーや技術者から必要な情報を引き出す
- 翻訳力:専門用語を経営層や他部門に分かりやすく伝える
- 行動力:現場に足を運び、自分で見て触れて理解する
百聞は一見にしかず。図面や資料だけではなく、実物や現場を体験し、自分の言葉で説明できるようになることこそが、ものづくりバイヤーの本質的な適性です。
5. 文系バイヤーでも大成功できるアクションプラン
- 技術者との定期的なコミュニケーションを習慣にする
- 製造現場や研究開発部門へ積極的に足を運ぶ
- 専門誌や業界ニュースに目を通し続ける
- サプライヤーとの打ち合わせでは徹底的にメモを取り、不明点は必ず質問する
- 「分からない」を恐れず、学ぶ姿勢を示す
6. まとめ
理系か文系かは、ただの出発点に過ぎません。
ものづくりバイヤーにとって大切なのは、知識の出発点ではなく、**「どれだけ好奇心を持ち、情報を吸収し、自分の言葉で活かせるか」**です。
理系でも文系でも、意欲と学ぶ姿勢があれば、一流のバイヤーへの道は開けています。
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