【実績事例】売上は増えているのに、利益が残らない

購入品の商流を見直し、利益体質を強化したY社様の事例

精密機械の組立を手がけるY社様では、地道な営業活動が実を結び、新規顧客からの受注が着実に増えていました。

工場の稼働は高まり、社内にも活気が生まれていました。

ところが、経営数値を見ると、売上の伸びほど利益が増えていませんでした。

仕事は増えている。

現場も忙しい。

それなのに、会社に残る利益は期待したほど伸びない。

経営層が抱えていたのは、

これだけ受注が増えているのに、なぜ利益が残らないのか

という疑問でした。

そこでRE:GENは、売上をさらに増やす前に、受注した仕事からどのようにお金が出ていっているのかを確認しました。

すると、組立に使用する購入品の調達方法に、見直しの余地があることが分かりました。

多くの市販品を、一つの商社から購入していた

Y社様では、ねじ、ベアリング、電気部品、標準機器など、多くの市販品を総合商社から一括して購入していました。

必要な品目をまとめて依頼でき、複数のメーカーとのやり取りも一本化できる。

現場にとって、便利な仕組みでした。

長年その方法を続けてきたため、社内では、

市販品は、この商社から買うもの

という認識が定着していました。

しかし、購入実績を品目ごとに確認すると、状況は一様ではありませんでした。

商社の調整力や在庫機能が生きている品目がある一方で、メーカーや一次代理店から購入しても、品質や納期にほとんど違いがない品目も含まれていました。

つまり問題は、商社を使っていたことではありません。

すべての品目を、同じ商流で購入していたことでした。

商社のマージンは、必ずしも無駄ではない

商社を経由すると、その役割に応じた費用が価格へ含まれます。

しかし、その費用を単純に「中間マージン」として排除すればよいわけではありません。

商社は、次のような機能を担っていることがあります。

  • 複数メーカーへの発注の取りまとめ
  • 小口発注への対応
  • 在庫の保有
  • 納期の調整
  • 物流の一本化
  • メーカーとの技術的な確認
  • 不具合時の窓口
  • 支払条件や与信の調整

これらの機能を商社が担っているなら、その費用には意味があります。

一方で、注文をメーカーへ取り次ぐ以外に、ほとんど機能が付加されていない品目もあります。

必要なのは、

商社を通すか、通さないか

という二者択一ではありません。

この品目について、商社はどのような価値を提供しているのか

を、一つずつ確認することでした。

RE:GENが最初に行ったのは、購入実績の整理

RE:GENは、Y社様の購入実績を仕入先別、品目別に整理しました。

確認したのは購入価格だけではありません。

  • 年間購入金額
  • 発注回数
  • 一回当たりの発注数量
  • メーカー名
  • 型式
  • 現在の商流
  • 納期
  • 在庫の必要性
  • 小口対応の有無
  • 不具合時の対応
  • 支払条件
  • 社内で発生する発注・検収業務

を確認しました。

同じ商社から購入している品目でも、見直しの効果と難易度は異なります。

そこで、すべてを一度に変更するのではなく、次のような品目から優先的に確認しました。

  • 年間購入金額が大きい
  • メーカーと型式が明確
  • 複数の正規代理店が扱っている
  • 特別な在庫や技術対応を必要としない
  • 長期間、価格比較をしていない
  • 商社を通す理由が社内で説明できない

品目ごとに、商流の役割を整理する

商流を調べると、一つの商品がY社様へ届くまでに、複数の会社を経由しているケースがありました。

ただし、経由する会社が多いことだけで、悪い商流とは判断できません。

重要なのは、それぞれの会社が何を担っているかです。

そこで品目ごとに、

  • メーカーから直接購入できるもの
  • 一次代理店から購入する方が適切なもの
  • 専門商社の技術対応が必要なもの
  • 総合商社の取りまとめ機能を残すもの

に分けました。

商流を短くすること自体を目的にせず、価格、納期、管理工数、供給リスクを含めて、最も合理的な窓口を選ぶことを目的にしました。

一度に切り替えず、対象品目を限定した

商流の変更には、現場の不安が伴います。

取引先を変えて納期が不安定にならないか。

小口注文を受けてもらえるのか。

不具合時に誰へ連絡すればよいのか。

発注先が増え、購買業務が複雑にならないか。

こうした不安を残したまま、一斉に切り替えるべきではありません。

そのため、まずは比較的切り替えやすく、効果を確認しやすい市販品に対象を絞りました。

新しい購入ルートについては、

  • 取引条件
  • 最低発注数量
  • 納期
  • 送料
  • 在庫対応
  • 見積価格
  • 問い合わせ対応

を確認し、既存ルートと比較しました。

小さな範囲で実際に発注し、問題がないことを確認したうえで、対象を広げていきました。

見積価格だけでなく、社内の管理コストも比較する

新しいルートの購入単価が安くても、発注先が増えすぎれば、社内の管理負担が増えます。

たとえば、一つの商社へまとめて発注していたものを、十数社へ個別に発注するようになれば、

  • 見積依頼
  • 注文書の発行
  • 納期確認
  • 検収
  • 請求書処理
  • 支払い
  • 取引先管理

の作業が増えます。

購入価格が下がっても、管理業務にそれ以上の時間がかかれば、会社全体では改善にならないことがあります。

そのため今回の見直しでは、

単価がいくら下がるか

だけではなく、

その商流を自社で管理できるか

も判断材料にしました。

単価差が小さく、商社の取りまとめ機能が有効な品目は、既存ルートに残しました。

一方、購入金額が大きく、切り替え効果が管理負担を上回る品目は、メーカーや一次代理店との取引へ移しました。

既存商社を、一律に外したわけではない

今回の取り組みでは、既存の総合商社との取引をすべて終了したわけではありません。

専門的な調整が必要な品目。

小口で頻繁に発注する品目。

複数メーカーの商品をまとめて納入してもらう方が効率的な品目。

緊急時の在庫対応が必要な品目。

こうした領域では、引き続き商社の機能を活用しました。

一方、型式が明確で、継続的に一定量を購入し、メーカーや一次代理店から安定して購入できる品目については、商流を見直しました。

これは商社との関係を否定する取り組みではありません。

商社が価値を発揮する領域を明確にし、その役割に見合った取引へ変える取り組みでした。

成果――購入価格を抑え、利益が残る構造へ

対象品目の商流を見直した結果、複数の購入品で調達価格を下げることができました。

品目によって削減率は異なりましたが、商流と購入窓口を適正化することで、継続的なコスト改善につながりました。

一度限りの値下げ交渉とは違い、発注先と商流そのものを変更しているため、同じ品目を購入するたびに効果が積み上がります。

受注価格を変えなくても、製品を作るために出ていく費用が下がれば、その分だけ利益は残りやすくなります。

Y社様にとって、今回の成果は単に部品を安く買えたことだけではありません。

売上を増やすことだけが、利益を増やす方法ではない

と実感できたことに、大きな意味がありました。

購買担当者の見方も変わった

これまでY社様では、必要なものを決められた商社へ発注することが、購買担当者の主な仕事になっていました。

しかし、購入実績と商流を整理したことで、

  • なぜこの会社から買うのか
  • その価格にはどの機能が含まれているのか
  • ほかの購入ルートはないのか
  • 発注方法を変えれば安くならないか
  • 社内の管理負担まで含めて合理的か

を考えるようになりました。

「いつもの会社へ発注する」から、

この品目に最も適した商流を選ぶ

へ。

購買の判断軸が変わり始めました。

この変化は、今回見直した品目だけにとどまりません。

新しい購入品が発生した際にも、最初から商流と役割を考えられるようになります。

商流は、長く続くほど見えにくくなる

取引が長く続くと、現在の商流がどのようにできたのか分からなくなることがあります。

当時は合理的な理由があったのかもしれません。

少量購入だった。

メーカーと直接取引できなかった。

社内に購買担当者がいなかった。

商社に在庫を持ってもらう必要があった。

しかし、購入量、事業規模、社内体制、市場環境が変わっても、商流だけが以前のまま残ることがあります。

問題は、商社を使うことではありません。

現在もその商流が最適なのかを、誰も確認していないことです。

RE:GENの視点――商流改革は、役割の再設計

商流改革というと、中間業者を外し、直接取引を増やすことだと思われがちです。

しかし、RE:GENが考える商流改革は、それだけではありません。

  • 誰が在庫を持つのか
  • 誰が小口対応をするのか
  • 誰が納期を調整するのか
  • 誰が品質問題の窓口になるのか
  • 誰が複数メーカーを取りまとめるのか
  • 自社はどこまで管理するのか

を整理し直すことです。

商流を短くすれば、必ず安くなるとは限りません。

直接取引へ変えた結果、これまで商社が担っていた業務を自社が引き受け、かえって負担が増えることもあります。

だからこそ、

マージンをなくす

ではなく、

費用に見合う役割があるか

を見る必要があります。

Y社様の事例は、商社を外した事例ではありません。

品目ごとに必要な機能を見極め、商流を適正な形へ組み替えた事例です。

まとめ――利益が残らないときは、売上だけを見ない

今回の事例では、受注が増えているにもかかわらず利益が伸び悩んでいたY社様に対し、購入実績と商流を整理しました。

その結果、総合商社の機能が必要な品目は残し、メーカーや一次代理店から購入する方が合理的な品目は商流を変更しました。

この見直しにより、購入価格を継続的に抑え、利益が残りやすい調達構造へ変えることができました。

売上を増やすことは重要です。

しかし、売上が増えても、同じ割合で支出が増えれば利益は残りません。

何を、いくらで買っているのか
なぜ、その会社から買っているのか
その商流には、どのような機能があるのか

を確認する。

そこに、利益改善の入口があります。

RE:GENは、30年以上の調達経験をもとに、中小製造業の購入実績分析、商流調査、仕入先の見直し、取引条件の整理まで伴走します。

「売上は増えているのに利益が残らない」

「長年、同じ商社へまとめて発注している」

「現在の商流が適正なのか分からない」

そのような課題があれば、まずは購入実績と商流を見える状態にするところから、一緒に考えます。

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