調達の現場でよく耳にする「SPHC」。
でも「SPCCやSS400とどう違うの?」と新人バイヤーがつまずきやすいポイントでもあります。
この記事では SPHCの定義・特徴・他材質との違い を調達視点で整理し、さらに板厚の目安もまとめました。
読むことで、仕入れ先との打ち合わせや見積もり判断にすぐ役立てられるはずです。
SPHCとは?
- 定義:JIS規格における熱間圧延鋼板。
- 「Steel Plate Hot Commercial」の略。
- 主に溶接やプレス加工に使われる一般的な鋼板で、建材や自動車部品で広く用いられています。
SPHCの特徴
- 熱間圧延材:高温で圧延するため、寸法精度は冷間圧延材(SPCC)に比べて劣る。
- 強度・延性のバランス:比較的強度があり、成形性・溶接性にも優れる。
- コストが安い:大ロットでの量産に向いており、価格的に有利。
- 表面の粗さ:スケール(酸化皮膜)が残りやすく、見た目はSPCCほどきれいではない。
SPCC・SS400との違い
材料 | 加工法の特徴 | 主な用途 |
---|---|---|
SPCC | 冷間圧延。寸法精度高く表面きれい | 家電製品の外装、精密部品 |
SPHC | 熱間圧延。強度と溶接性に優れる | 自動車部品、溶接構造材 |
SS400 | 汎用構造用圧延鋼材 | 建築構造物、橋梁、機械フレーム |
ポイント:
• 見た目重視ならSPCC
• 強度・溶接性重視ならSPHC
• 構造材ならSS400
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板厚の目安(簡易表)
SPHCは多用途なため板厚も幅広く存在します。以下は代表的なものです。
板厚 (mm) | 主な用途例 |
---|---|
1.6〜3.2 | 自動車部品、薄物構造材 |
4.5〜6.0 | 一般機械部品、産業機械カバー |
8.0以上 | 建築材、溶接構造物 |
👉 注意点:
- 「2.1mmで」と指示されても規格外で困ることがあります。
- 調達時には JIS規格の厚みラインナップ を確認してからサプライヤーに依頼するのが安心です。
調達の観点でのまとめ
- SPHCは 強度・溶接性・コストのバランスが良い万能選手。
- ただし、精密さや表面品質が必要ならSPCCを選ぶ方が適切。
- 建築・構造分野ではSS400と競合するが、部品加工用としてはSPHCが便利。
クロージング
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素材ひとつの理解が、コストにも品質にも直結します。
ぜひ日々の調達判断に役立ててください。
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