バイヤー必見:まずはここから!図面の「3点セット」を理解しよう
図面が読めないバイヤーは意外と多い
「図面を見せられると頭が真っ白になる…」
「材料記号や公差の意味が分からないから、サプライヤー任せにしている」
これは決して珍しい話ではありません。特に文系出身のバイヤーにとって、図面はまさに“異国の言語”のような存在。線や数字、記号がぎっしり並んだ紙を見ただけで拒否反応が出る人もいるでしょう。
でも安心してください。調達の仕事で求められるのは 設計者やエンジニアのように図面を完璧に理解することではない のです。大切なのは、必要なポイントを読み取って、サプライヤーと会話できる最低限のリテラシーを身につけること。
RE:GENではその入口を 「図面の3点セット」=寸法・公差・材質 と定義しています。
図面の「3点セット」とは
1. 寸法(サイズ)
長さ・幅・高さ・直径など、部品の基本的なサイズです。ここを読み取れるだけで「見積を依頼できる」レベルに到達します。
例:
- Φ20(直径20mmの穴)
- 50×100(50mm×100mmの板)
まずは「単位は基本的にmm」というルールを押さえましょう。
2. 公差(許容誤差)
公差とは、寸法の“ゆるさ・厳しさ”を示す数字です。
- ±0.1 → ほんの少しのズレしか許されない高精度加工
- ±0.5 → 比較的余裕のある加工
調達の現場では、公差の厳しさ=コストへの影響度 と直結します。
「この部品は公差が厳しいからコストに効きそうですね」と言えるだけで、サプライヤーとの会話の質がぐっと上がります。
3. 材質(材料の種類)
材質は部品の“原材料”。ここが分かれば「納期」と「コスト」の見積もりが現実味を帯びます。
代表的な材質記号:
- SS400(一般構造用鋼、いわゆる鉄材)
- SUS304(ステンレス鋼)
- A5052(アルミ合金板)
日本語とセットで覚えると、図面の「材料記号=材料名」の変換ができるようになります。
図面は“料理レシピ”と同じ
図面を難しく感じる理由のひとつは「言葉とイメージが結びついていない」からです。
文系のバイヤーにおすすめなのは、図面を料理レシピに例えてみること。
- 材料:材質(例:牛肉=SUS304)
- 分量:寸法(例:200g=Φ20×100mm)
- 作り方の注意:公差・仕上げ(例:弱火で5分=±0.1の加工精度)
こう考えると、図面も単なる“モノづくりのレシピ”に過ぎないことが分かります。
よく出る図面の要素を押さえよう
ねじ穴(M表記)
- M8 → 直径8mmのボルト穴
- M10 → 直径10mmのボルト穴
ねじサイズが分かるだけで、サプライヤーとの会話がスムーズになります。
表面粗さ(▽記号)
▽マークが付いていると「削った後の表面を滑らかにせよ」という意味。粗さのレベルによって加工コストが大きく変わります。
溶接記号(△)
△マークは「ここを溶接する」という指示。種類や位置によって加工の難易度が変わるため、覚えておくと役立ちます。
表面処理(めっきや塗装)
Znメッキ(亜鉛めっき)、Anodize(アルマイト処理)など。見積に大きく影響するので見逃せません。
図面が読めると調達はこう変わる
- 見積依頼が的確になる
「この部分の公差が厳しいのでコストに影響しますか?」と具体的に聞ける。 - 交渉力が増す
「材質をA5052からSS400に変えると納期が短縮できませんか?」と提案できる。 - サプライヤーの信頼を得られる
「図面を分かっているバイヤー」と認識されるだけで、より多くの情報を引き出せる。
図面理解は“設計”すること
ここで大事なのは「図面を解読する」のではなく、在庫や原価と同じように“設計する”視点を持つことです。
- 図面は部品単体の要求仕様を示すもの。
- バイヤーはそれを基に「コスト・納期・リスク」を設計する役割を担う。
つまり、図面を読む力は単なる知識ではなく、調達戦略を組み立てるための設計力そのものなのです。
まとめ
- 図面は「異国の言語」ではなく、調達に必要な“共通言語”。
- 寸法・公差・材質の3点セットを押さえるだけで、サプライヤーとの会話は格段にスムーズになる。
- 図面理解は、コスト・納期・品質を見極める「バイヤーの武器」。
本記事はあくまで【基礎編】です。
応用編では「特殊記号」「難削材」「加工プロセス」などを取り上げ、より実務に直結する知識を解説していきます。
RE:GENは、文系も理系も関係なく、“現場で戦えるバイヤー”を応援しています。
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