財務はむずかしいものではありません。
会社が「どんな状態で、どんな呼吸で、これから歩けるのか」を
数字の形でまとめただけのものです。
だから、正確な知識よりも “どう感じるか” の方が大切です。
1. 🚶 財務三表は「会社の身体」を表している
会社を人間にたとえると、三表はこう対応します。
| 財務三表 | 人の身体で例えると | わかること |
|---|---|---|
| 貸借対照表(B/S) | 体幹・骨格 | 姿勢。倒れにくさ。無理をしていないか。 |
| 損益計算書(P/L) | 日々の体調 | 今の仕事の仕方が健全か。無理が溜まっていないか。 |
| キャッシュフロー計算書(C/F) | 呼吸 | 息が続くか。詰まっていないか。 |
つまり、財務を見るとは、
「この会社は、この先も一緒に歩けるか?」
を落ち着いて確かめることです。
👉 [ご参考] 貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書…「財務三表」の役割と関係性を初心者向けに解説 (外部サイト)
2. 「強い・弱い」でなく、「持つ・持たない」を見る
調達担当者は、優れた会社を探しているわけではありません。
必要なのは 倒れない会社 です。
- 一見「強そう」でも、呼吸が浅ければすぐ止まります。
- 規模が小さくても、体幹がしっかりしていれば長く歩けます。
だから、財務はかっこよさではなく、持久力を見る道具です。
3. 財務は「現場の空気」に必ず滲みだす
数字は、人の動きに変わります。
- 粗利が低い → 作業が荒くなる
- 設備投資が止まる → 技術が古くなる
- 現金が減る → 現場が慌ただしくなる
数字は、現場の匂いや温度、声のトーンになって表れます。
調達担当者が現場を歩くのは、
数字が「人の身体にどう現れているか」を見るためです。
現場は、財務の“翻訳”です。
4. そして、財務は“関係づくり”の言語になる
ある会社にこう言いました。
「あなたの粗利が低いのは、技術が弱いからではなく、
単価の設計が過去のまま止まっているからです。」
その瞬間、会話が変わりました。
価格交渉は「叩き合い」ではなく、
「どこを一緒に伸ばすか」という共同設計 に変わったのです。
財務は、責める言葉ではありません。
相手と未来を見るための言葉です。
5. 前編のまとめ
- 財務三表は「会社の身体」
- 調達担当者は「強さ」より「持続性」を見る
- 数字は現場に必ず現れる
- 財務は“関係を育てる”言語になる
次回(後編)は、財務を 実際に“使う”視点 について。
「バイヤーは、財務のどこを、どう読み、どう判断につなげるのか」
粗利・自己資本比率・現金
この3つで十分です。
そしてその「見方」こそが、
調達を 経営の武器にする 入口です。
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