経理はドクター、では調達は──未来を導く「航海士」への進化(メタモルフォーゼ)

コラム・調達豆知識

経理は企業の「健康」を診るドクターであるべき、だが…

若い頃、経理部門の大先輩(のちに大手企業の社長となられた方)から、
忘れられない言葉をいただきました。

「経理はドクターにならなあかん。企業の数字という『カルテ』を診て、
どこが悪いのか『病巣』を見つけ出し、会社が健康になる『再生の道』を示すんや。」

経理とは本来、企業の健全な成長を支える「健康の守り手」です。

しかし現実には、日々大量の数字の「間違い探し」に追われたり、
現場の活動を「批評」する立場に留まってしまうケースも少なくありません。
本来の使命である「企業の健全な循環をつくる」役割から、
少しずつ距離が生まれてしまっているのが現状です。

現状の多くの中小企業では、収支が悪化すると、経理部門から経営層へは
「売上を増やすか、コストを合理化するしかありません」という報告が上がりがちです。
そして、その「コスト合理化」の指示を受けた調達部門は、
サプライヤーに対し「とにかく安くしてください」と、価格交渉に終始してしまう…。

この悪循環では、根本的な問題解決には至りません。
まるで、病気の症状だけを見て「もっと頑張って働いて、食費を減らせ」と言う医者と、
言われた通り無理をする患者の関係のようです。
企業の本当の病巣はどこにあり、未来の利益を生む航路はどこにあるのか。
そこを見つけ出す力が、今、問われています。

メタモルフォーゼ:職能は進化する。そして、調達は「航海士」へと向かう

私はこの言葉を、長く調達の仕事に携わる中で、
職能は常に進化し、その役割を広げていくものだ」という深い示唆だと受け止めています。

もし経理が、企業の“内側”の数字(結果)を診て健康状態を診断する「ドクター」だとすれば、
調達は、その診断結果を元に、未来の“結果”そのものを変えていく力を持つ職能です。

企業という船の「健康管理」から一歩進み、
未だ見ぬ未来の「航路」そのものを設計し、導く役割へと進化していく存在
──それが、調達が目指すべき「航海士」の姿だとRE:GENは考えます。

経理のドクターが「今の企業の病気を見つけ、治療法を提案する」役割なら、

調達の航海士は「ドクターの診断を基に、嵐の海を避け、資源豊かな新天地へ導く」役割を担うのです。

「航海士」としての調達:情報と信頼で、最適航路を拓く

航海士に求められるのは、ただ羅針盤を読む技術だけではありません。
刻々と変わる風向きを読み、荒れ狂う波を見極め、時には地図にない海図を自ら描きながら、
目的地へと船を導く卓越した「判断力」です。

調達も同じです。サプライヤーという多様な「波」と市場という「風向き」の中から、
自社にとっての“最適航路”を選び取っていく。
その舵取りの要は、単なる「数字」や「価格表」ではありません。

それは、「情報」と「信頼」という羅針盤です。

「情報」という羅針盤:

市場の変動、原材料価格の推移、技術の進化、サプライヤーの経営状況、他社の動向、
さらには為替や国際情勢まで。
これらの多角的でリアルタイムな情報を収集・分析し、未来のリスクやチャンスを予測する力が、調達航海士には求められます。
どのサプライヤーを選び、いつ契約し、どの港(市場)を目指すか。
その全てが情報に基づく判断です。

「信頼」という羅針盤:

サプライヤーを単なる取引相手ではなく、
「共に未来を創るパートナー」として深く信頼関係を築く力。
これにより、いざという時の助け合いや、通常では得られない貴重な情報共有、
共同での新技術開発へと繋がります。
未知の海を進む中で見えてくるのは、「いかに安く買うか」ではなく、
「どうすればパートナーと共に、最も安全で、最も利益の出る航路を共に進めるか」なのです。

調達は、企業の利益構造に深く関与し、サプライチェーン全体のリスクを管理しながら、
企業同士の信頼と可能性を編み上げる、
まさに「未来を設計する航海士」の仕事へと進化しているのです。

ドクターと航海士の協働:企業という船を最強にするために

経理のドクターと調達の航海士が連携することで、企業という船は最強になります。

ドクターの診断: 経理が数字から「この部門で出血(ムダ)がある」「この分野が病気(非効率)」と診断すれば、

航海士の戦略: 調達は、その原因が「どのサプライヤーとの取引にあるのか」
「どの調達プロセスに問題があるのか」を特定し、
「航路変更(サプライヤー選定の再考)」
「船の構造改革(調達プロセスの改善)」
「新しい航海の計画(コスト構造改革)」を立案・実行します。

これにより、ドクターが見つけた「病巣」は、航海士の手によって根本から取り除かれ、より利益の出る航路へと船を導くことができるのです。

結び:RE:GENの想い──未来の「航海士」と共に

経理が“今”を診るドクターなら、調達は“未来”を導く航海士。

職能は、単なる機能に留まらず、時代と共に進化し、その役割を広げていきます。

私たちRE:GENは、そんな調達の進化を信じ、
「情報」と「信頼」という羅針盤を手に、企業の利益と持続的な成長という
“最適航路”を共に描き、未来へと導くお手伝いをいたします。

調達が真の「航海士」として、日本企業の未来を切り拓く存在となるために、
RE:GENは伴走し続けます。

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