SPCCとは?
SPCCは、JIS規格で定められた「冷間圧延鋼板(Cold Rolled Carbon Steel Sheet and Strip)」のことです。
簡単にいえば、熱間圧延した鋼板をさらに冷間で圧延し、表面を滑らかに仕上げた鋼板です。
家電、自動車部品、OA機器など、私たちの身近な製品の外装や内部部品に広く使われています。
SPCCの特徴
- 表面が滑らかで美しい
- 寸法精度が高い
- 塗装やメッキの下地として優秀
- 薄板から厚板まで幅広い規格がある
特に「見える部分」に多く使われ、見た目と加工性を両立する素材として欠かせません。
SPHC・SECCとの違い
- SPHC:熱間圧延鋼板。加工性は高いが表面が粗く、塗装や外観用途には不向き。
- SECC:電気亜鉛めっき鋼板。SPCCに防錆性を加えたもの。OA機器や電装品に多用される。
つまり、SPCCは 「素材としての標準」 であり、そこから「コストを抑えたいならSPHC」「錆に強くしたいならSECC」という分岐になります。
代表的な板厚(参考表)
新人の方が戸惑いやすいのが「板厚」の指定です。
SPCCには汎用的によく使われる板厚があり、以下は代表的な一例で
板厚(mm) | 用途の目安 |
0.8 | 小物部品、家電内部部品 |
1.0 | 汎用性が高く、幅広く使用 |
1.2 | OA機器や弱電部品で多用 |
1.6 | 強度が必要な内部フレーム |
2.3 | 自動車部品や構造部品 |
3.2 | 高強度を要する用途 |
例:発注時に「2.1mmで」と言われても規格外の場合が多く、在庫性・コストで不利になることがあります。
バイヤーとしては「標準厚に設計を合わせられないか」を確認するのも重要な仕事です。
バイヤー視点での活用ポイント
- 調達先の確認
量産品ではSPCC、試作品では切削や他素材を混ぜることも多い。 - 表面処理との組み合わせ
塗装・メッキの前提条件になるため、サプライヤーと早めに相談しておく。 - コスト構造の理解
板厚・加工方法・表面処理の3点セットで原価が決まる。 - 在庫性の確認
標準板厚を使うことでリードタイムとコストを抑えられる。
まとめ
SPCCは「ものづくりの標準素材」といえる存在です。
しかし、SPHCやSECCとの違い、板厚の選び方、表面処理の組み合わせを理解しないと、無駄なコストや納期遅れを招きかねません。
RE:GENでは、大手メーカーでの実践知をベースに「中小企業でもすぐに活かせる調達知識」を発信しています。
素材ひとつの理解が、コストにも品質にも直結します。ぜひ日々の調達判断に役立ててください。
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