なぜ中国からの方がリードタイムが短いのか?国内製造業に残されたチャンスとは

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常識がひっくり返る現象

「海外調達=時間がかかる」
──多くの方がそう考えるのではないでしょうか。

ところが現場にいると、中国から輸入する方が国内調達より早く届くという逆転現象がしばしば起きています。

「距離が遠いのに、なぜそんなことが?」

本来なら国内こそリードタイムの強みを持っているはず。
けれど、実際は中国から数週間で届くのに、国内メーカーでは数か月かかる…。
この矛盾を前に、バイヤーとして考え込むことが少なくありません。

しかも最近は、かつては国内メーカーの専売特許だった「一品モノ」対応
──つまり、特注仕様・小ロット・設計変更を伴うオーダーも、
中国製造業がごく普通にこなすようになっています。
これはバイヤーにとって驚きであると同時に、新しい視点を求められる変化です。

中国が短納期を実現できる理由

では、なぜ中国はリードタイムで国内を逆転できるのでしょうか。
背景にはいくつかの構造的な強みがあります。

1. 設備稼働率の高さ

中国の工場は常に高い稼働率で回っており、段取り替えやライン切り替えもスピーディーです。
空き時間を作らず受注に柔軟に応えられる仕組みが整っています。

2. サプライチェーンの柔軟性

膨大な規模のサプライヤーネットワークを持つため、部材調達も迅速。
代替調達や調達先の切り替えも早く、調達リードタイムを短縮しています。

3. 意思決定の速さ

トップダウン型の意思決定が多く、承認フローが短いのも特徴です。
「まずやってみる」姿勢が強く、調達側からすると即断即決で物が動きやすい環境です。

4. 一品モノ対応の平準化

かつては苦手とされた特注・小ロットも、近年では当たり前の業務に。
3Dプリンタや柔軟な加工設備を活用し、国内メーカー顔負けのスピードで対応しています。

国内が遅くなる理由

一方、国内メーカーの納期が長くなる要因も整理してみましょう。

1. 受注生産慣行

国内は「注文が入ってから作る」受注生産が主流。
見込み生産で在庫を持つのはリスクと考える企業が多いため、納期が伸びやすい傾向があります。

2. 小ロット非効率

少量生産を「特別対応」とみなすため、工程調整や見積作業に時間がかかります。
これがリードタイムを押し上げます。

3. 職人気質の慎重さ

品質を最優先する日本のモノづくり文化。
試作や検査が多く、安心感はあるもののスピードでは不利になりがちです。

4. 人員不足・設備老朽化

中小企業を中心に、人材不足や設備の老朽化が進み、フレキシブルな対応が難しくなっている現実もあります。

バイヤーが気づくべきチャンス

では、こうした逆転現象を前にバイヤーはどう考えるべきでしょうか。

1. 輸送費分が粗利に変わる

国内調達であれば輸送コストは最小限。
海外調達では見えにくい「物流コスト分の粗利確保」という視点が生まれます。

2. 人件費格差の縮小

かつては「海外=人件費が安い」が常識でしたが、今ではその差は小さくなっています。
国内の強みを取り戻せる可能性があります。

3. 国内サプライヤーの強み

近距離ゆえのスピード対応や細かな調整力は、まだまだ国内の大きな武器。
特に緊急対応や小ロットで真価を発揮します。

4. 営業チャンスの発想

「遅い」と言われがちな国内製造業が、もしスピードを武器にできれば再評価につながります。
バイヤーがその可能性を見出し、サプライヤーと一緒に仕組みを磨いていくことこそチャンスです。

まとめ:選択肢を増やすことが未来をつくる

中国からの方が早い──この逆転現象は決して一過性ではなく、構造的な背景があります。
だからこそ、国内メーカーもただ「品質重視」で守りに入るのではなく、スピード面での改善余地を見直すべきでしょう。

バイヤーにとって重要なのは、「中国を選ばざるを得ない」ではなく「国内を選べる」という選択肢を持つこと。

RE:GENは、中小企業が調達のQCDを見直し、国内外を比較検討できる柔軟な購買戦略を築くための伴走を続けていきます。

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