【実績事例】自社で加工できない難削材案件を、外注体制で受注へ

サプライヤー開拓により、顧客との取引と新たな対応領域を守ったF社様の事例

精密機械加工を手がけるF社様に、長年取引している顧客から、難削材を使用した部品加工の相談が寄せられました。

これまでの取引をさらに広げられる可能性がある、重要な案件でした。

F社様はまず、自社設備での加工に挑戦しました。

しかし、実際に加工を始めると、刃具の摩耗が想定以上に早く、寸法精度や仕上がりにもばらつきが生じました。

条件を変えながら試行錯誤を重ねましたが、量産品として安定して供給できる状態には至りませんでした。

無理に社内加工を続ければ、品質不良や納期遅延につながります。

一方で、

当社では対応できません

と断れば、今回の受注だけでなく、今後の顧客との取引にも影響する可能性があります。

F社様が直面したのは、単なる加工上の問題ではありませんでした。

自社にない技術を、どのように顧客への対応力へ変えるかという経営上の課題でした。

難削材は「削れた」だけでは量産できない

難削材とは、一般的な鋼材などと比べて、切削加工が難しい材料の総称です。

材料の特性によっては、

  • 刃具が早く摩耗する
  • 加工熱が逃げにくい
  • 切粉を排出しにくい
  • 加工硬化が起きやすい
  • 寸法や面粗度が安定しにくい
  • 加工時間が長くなる

といった問題が起こります。

一度、要求寸法どおりに加工できたとしても、それだけで量産対応が可能とはいえません。

同じ品質を繰り返し出せるか。

刃具寿命を管理できるか。

必要数量を納期内に生産できるか。

不良や再加工を含めても採算が合うか。

そこまで成立して、初めて「対応できる」といえます。

F社様の場合も、試作品を一つ完成させることは不可能ではありませんでした。

しかし、顧客へ継続的に納めるには、品質、納期、コストの安定性に不安が残りました。

「社内で作るか、断るか」の二択ではない

当初、F社様の中には、

自社で作れない仕事を外注するのは、加工会社として弱みを見せることにならないか

という迷いもありました。

確かに、顧客から受けた仕事を外部へ任せることには責任が伴います。

外注先で不具合や納期遅延が起きても、顧客に対する責任はF社様にあります。

そのため、単に加工できる会社を見つければよいわけではありません。

しかし、顧客が本当に求めているのは、

すべてを自社設備だけで作る会社

とは限りません。

品質、納期、価格を守り、必要な製品を確実に届ける会社です。

そこでRE:GENは、自社加工を無理に続けるのではなく、難削材加工を得意とするサプライヤーを開拓し、F社様の供給体制へ組み込む方法を提案しました。

RE:GENが行ったのは、加工先の紹介だけではない

サプライヤー開拓では、インターネットで加工会社を探し、見積もりを取るだけでは不十分です。

「難削材に対応可能」と掲げていても、得意とする材料、形状、寸法、数量は会社によって異なります。

そこで、まず案件の条件を整理しました。

  • 材質
  • 製品形状
  • 寸法と公差
  • 表面粗さ
  • 必要数量
  • 希望納期
  • 検査項目
  • 顧客が重視する品質条件
  • 今後の継続性

この条件をもとに、対応可能性のあるサプライヤーを調査しました。

1.難削材加工の実力を確認する

候補先の選定では、設備を保有しているかだけではなく、実際の加工経験を確認しました。

特に見たのは、次のような点です。

  • 対象材または類似材の加工実績
  • 使用設備と加工可能範囲
  • 刃具や加工条件に関する知見
  • 要求精度への対応力
  • 測定設備
  • 品質記録の残し方
  • 不具合が起きた際の原因分析力

難削材加工では、同じ設備を持っていても、条件設定や工具選定によって結果が大きく変わります。

設備表だけで判断せず、その材料を安定して加工するための経験と管理方法を持っているかを確認しました。

2.品質だけでなく、継続供給できるかを見る

高い技術を持つ会社でも、今回の数量や納期に継続して対応できなければ、安定した調達先にはなりません。

そこで、

  • 現在の設備負荷
  • 標準的なリードタイム
  • 生産可能数量
  • 材料の調達方法
  • 検査に必要な時間
  • 繁忙時の対応
  • 担当者以外への技能展開

も確認しました。

顧客へ一度納めるだけではなく、次回以降も同じ条件で供給できることが重要だからです。

3.候補を比較し、F社様と選定する

RE:GENが一社を決めて押し付けるのではなく、複数の候補について、技術、品質、納期、価格、供給力を整理しました。

そのうえで、F社様とともに、

今回の案件に最も適しているのはどの会社か
今後も相談できる相手か
どの部分をF社様が管理すべきか

を検討しました。

サプライヤーを選ぶことは、安い見積もりを選ぶことではありません。

顧客に対する責任を一緒に担える相手を選ぶことです。

外注体制をつくり、顧客納期を守る

選定したサプライヤーと加工条件、検査内容、納入日程を確認し、外注による供給体制を整えました。

F社様は、自社加工に固執するのではなく、外部の専門技術を活用する判断へ切り替えました。

その結果、顧客からの案件を断ることなく、要求された品質と納期に対応することができました。

このとき重要だったのは、

外注先へ仕事を渡したから終わり

にしなかったことです。

F社様が顧客との窓口となり、仕様確認、進捗管理、品質確認を担いました。

外部の技術を使いながらも、顧客に対する責任は自社が持つ。

その体制があったからこそ、外注は単なる仕事の横流しではなく、F社様の供給力として機能しました。

成果は、一つの案件を納めたことだけではない

今回の直接的な成果は、難削材案件を外注で補完し、顧客への納品を実現したことです。

しかし、F社様にとっての価値はそれだけではありませんでした。

顧客からの相談を断らずに済んだ

自社設備では安定加工が難しい案件でも、対応方法を持ち帰ることができました。

「できない」と断るのではなく、

自社で責任を持って、実現できる方法を探す

会社として顧客へ向き合えたことが、取引関係を守ることにつながりました。

新しい対応領域を持てた

難削材加工を得意とするサプライヤーとの関係ができたことで、F社様は今後、類似案件についても検討できるようになりました。

自社の設備能力そのものが変わったわけではありません。

しかし、外部の専門技術を調達できるようになったことで、会社として対応できる範囲が広がりました。

営業が持ち帰れる回答が増えた

これまでは、自社設備で加工できない相談に対して、営業担当者も断るしかありませんでした。

外部の専門技術を組み合わせる選択肢ができたことで、

まず社内で検討します
対応できる方法を探します

と顧客へ答えられるようになりました。

営業力とは、何でも即答できることではありません。

顧客の課題に対して、実現可能な方法を組み立てられることです。

外注すれば、すべて解決するわけではない

今回の事例は、加工できない仕事をすべて外注すればよい、という話ではありません。

外注には、次のようなリスクがあります。

  • 品質を直接管理しにくい
  • 納期が外注先の負荷に左右される
  • 原価構造が見えにくくなる
  • 顧客の図面や情報を外部へ出す必要がある
  • 外注先で問題が起きても、自社が顧客責任を負う
  • 外注への依存が高まる可能性がある

だからこそ、何を外へ出し、何を自社に残すかを判断しなければなりません。

F社様の場合は、自社で安定させるまでに時間と投資を要する難削材加工を、経験のある専門会社へ任せることが合理的でした。

一方で、顧客との仕様調整、品質確認、納期管理はF社様が担いました。

外注化の目的は、仕事を手放すことではありません。

自社が責任を持つ範囲と、外部の専門性を活用する範囲を設計することです。

「外注は弱み」という考え方を変える

製造業では、

自社で作れることこそ技術力だ

という考え方があります。

もちろん、自社独自の技術を持つことは重要です。

しかし、顧客の要求が多様になる中で、すべての材料、設備、加工方法を自社だけで持つことには限界があります。

設備を購入しても、受注量が少なければ投資を回収できません。

技術者を育てても、安定するまでには時間がかかります。

だからこそ、

  • 自社で持つべき技術
  • 外部の専門会社を活用すべき技術
  • 顧客ごとに組み合わせる技術

を分けて考える必要があります。

自社で加工していないことが、直ちに弱みになるわけではありません。

適切なサプライヤーを見つけ、品質と納期を管理し、顧客へ責任を持って届けられることも、会社の重要な能力です。

RE:GENの視点――調達は、自社の能力を広げる

調達というと、必要な材料や部品を安く買う仕事だと思われがちです。

しかし、外部の技術を見つけ、自社の提供価値へ組み込むことも調達の役割です。

自社にない設備。

自社にない加工ノウハウ。

自社だけでは対応できない生産能力。

それらを持つサプライヤーとつながれば、自社が顧客へ提供できる範囲は広がります。

今回の事例では、難削材加工の専門会社を開拓したことで、F社様は自社設備だけでは受けられなかった案件に対応できるようになりました。

これは、単なる外注先探しではありません。

調達によって、自社の能力を拡張した事例です。

まとめ――顧客が見ているのは「どこで作ったか」だけではない

今回の事例では、自社設備で安定生産できなかった難削材案件に対し、専門サプライヤーを開拓して外注体制を構築しました。

その結果、F社様は案件を断ることなく、顧客への供給を実現しました。

さらに、今後の難削材案件にも対応を検討できる、新たな技術ネットワークを得ました。

顧客が本当に求めているのは、自社ですべてを作ることとは限りません。

困ったときに、

できません

で終わらず、

どうすれば実現できるかを考え、責任を持って届ける

会社であることです。

自社にない技術を、信頼できる外部の力で補う。

その力を品質、納期、価格まで含めて管理する。

それもまた、中小製造業が持つべき競争力です。

RE:GENは、30年以上の調達経験をもとに、加工条件の整理、候補サプライヤーの調査、技術・品質・供給力の評価、外注体制の構築まで伴走します。

「自社では対応できない加工案件を相談された」

「新しい設備を導入する前に、外注の可能性を検討したい」

「対応できるサプライヤーを探しているが、評価方法が分からない」

そのような課題があれば、自社で持つべき技術と、外部から調達すべき技術を整理するところから一緒に考えます。

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