自社で作れるのに外注する意味とは?市場感覚をつかむ調達の工夫
「この部品はうちでも作れるから、わざわざ外注する必要はない」
中小製造業では、そんな判断をよく耳にします。
確かに、自社で加工できれば外注費を抑えられるように見えます。
しかし、あえて外注を利用することで得られるメリットもあるのです。
それは単なるコストではなく、市場の相場や他社の動向といった“情報”を手に入れることです。
内製と外注のバランスを考える
自社で作れるものを外注に回すのは、一見「二重コスト」に思えます。
でも、その見積から得られるものは価格だけではありません。
- 同じ工程を外注に依頼すれば、市場の相場感が見える
- 他社の工法や段取りを知ることで、自社の改善点が見えてくる
- 外注先の納期や生産性を知れば、自社の基準が相対化できる
つまり外注は、“市場という鏡”を持つための手段でもあるのです。
加工内容の価値をどう考えるか
ここでもう一つ、大切な視点があります。
「自社ではどんな加工をやるべきか?」 という問いです。
内製に偏ると、どうしても「簡単で数が出るもの」に人や設備を割きがちです。
確かに稼働率は上がりますが、肝心の「高付加価値の加工」「難易度の高い仕事」が後回しになる危険があります。
- 単純加工にばかりリソースを割いていないか?
- 自社の技術を活かせる加工に時間を使えているか?
- 外注できる部分は外に任せ、本当に強みを出す部分に集中できているか?
この見極めこそが、内製と外注をどう使い分けるかの分かれ道です。
外注から得られる「情報価値」
外注を活用することで得られる情報は大きく4つあります。
- 市場価格の相場感
- 加工技術や工法のトレンド
- 納期・生産性の水準
- 将来の協力候補先とのネットワーク
こうした情報は、自社の強み・弱みを見直す材料になります。
そして時に「内製に固執するより、外注を上手に活用する方が利益につながる」ことも少なくありません。
まとめ:外注はコストではなく情報資産
外注を使うと「コストがかかる」と考えがちですが、見方を変えれば**「情報を買っている」**とも言えます。
- 相場感を知る
- 自社基準を相対化する
- 内製の価値を見直す
こうした気づきは、日々の調達判断だけでなく、会社の将来を考える上でも欠かせません。
自社でできることをあえて外に出すことは、“コスト”ではなく“投資”。
それは、市場を知り、自社の立ち位置を確認する大切な調達の工夫なのです。
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