~調達部門の視点から中小企業へのヒント~
1. はじめに
「得意先から監査に伺いたいと言われたけれど、何を準備すればいいのか分からない」
「資料はあるけど整理できていなくて、当日が不安…」
中小企業の経営者や購買担当の方から、このようなお悩みをよく耳にします。監査や品質対策の要求は、取引先との信頼を維持するうえで避けて通れないもの。準備不足のまま臨めば厳しい評価を受ける可能性もあります。
一方で、メーカーの調達部門にいた経験から言えるのは、監査は「信頼を深めるチャンス」だということです。監査を通じて改善意欲を示せば、得意先との関係を強化でき、次のビジネス拡大につながることもあります。
2. 得意先が品質監査を行う理由
調達の現場では、仕入先に対して定期的な品質監査を行うのが一般的です。その目的は大きく3つ。
- 不良品やトラブルを防ぐため
- サプライチェーン全体のリスクを減らすため
- 自社の品質基準に合った管理体制があるかを確認するため
要するに「安心して取引を続けられるかどうか」を見ているのです。ここで前向きに対応できる企業は「信頼できるパートナー」として評価されます。
3. 品質監査に備える3つのポイント
① 書類や記録を整理する
調達部門が監査でよく確認していたのは、検査成績書、作業手順書、工程表などです。日常的に使っているはずの資料でも、バラバラに保管されていると当日慌ててしまいます。シンプルで良いので、まとめて管理する仕組みをつくっておきましょう。
② 現場でルールが守られているか確認する
「マニュアルは立派だけど、現場で実際には守られていない」――これは監査で最も指摘されやすい点でした。普段からルールを運用し、現場で実践できていることを確認しておくと安心です。
③ 改善の姿勢を示す
調達部門の立場から見ても、監査で最も大切なのは「完璧であること」より「改善意欲があること」でした。たとえ指摘事項があっても、「次回までにこう直します」と説明できれば、前向きに評価してもらえます。
4. 現場で実際にあった工夫
ある企業では、監査のたびに書類探しで時間を浪費していました。そこで品質関連書類をクラウドに一元管理する仕組みを導入。準備時間が半分以下になり、監査対応がスムーズになりました。
別の企業では、監査で指摘された改善点を「改善リスト」として社内に共有。次回の監査では指摘が大幅に減り、得意先から「改善スピードが早い」と評価されました。
調達の現場から見ても、このように「監査を改善のきっかけにできる会社」は安心して長く付き合える相手でした。
5. 調達部門の経験からのアドバイス
監査の場でよく見ていたのは「準備の整い具合」や「現場の実態」だけでなく、企業の「姿勢」でした。
- 書類が多少不十分でも、改善計画がしっかりしている会社
- 指摘を前向きに受け止めて、次につなげようとする会社
こうした姿勢を示せる企業は、長期的に信頼を得やすいのです。
中小企業にとって監査は負担に感じることもありますが、実際には「改善意欲を伝える絶好の場」と考えると気持ちが楽になります。
6. まとめ
得意先からの品質監査は「試験」ではなく「対話の場」です。
- 書類や記録を整理しておく
- 現場でルールを守れる仕組みをつくる
- 改善の姿勢を見せる
この3つを意識すれば、監査は怖いものではなく、信頼を深めるチャンスになります。
「何から手をつければいいか分からない」
「監査のたびに慌ててしまう」
そんな時はぜひご相談ください。調達部門での経験を活かし、御社に合った監査対応の仕組みづくりを一緒に考えさせていただきます。
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