1. はじめに
中小企業の経営者や購買担当の方とお話しすると、よく耳にするのが
「結局、値段の安さだけで選ばれてしまう」
「下請け扱いから抜け出したいけれど、どうすればいいのか分からない」
という悩みです。
確かに、多くの企業は調達コストを重視します。しかし、メーカーの調達部門で働いていた経験からお伝えすると、「安さだけで取引先を選ぶ」ことはほとんどありませんでした。
むしろ、信頼できる会社と長く付き合いたい――これが調達担当者の本音です。
では、下請けではなく“パートナー”として選ばれるには、どんな取り組みが必要なのでしょうか。
2. 得意先が求めているものとは?
調達部門が仕入先を評価するときに見るのは、単なる価格だけではありません。
- 品質の安定性
不良率が低いことはもちろん、トラブルがあったときの対応力も含まれます。 - 納期の確実性
生産計画に合わせて安定供給できるかどうか。調達部門にとっては非常に重要です。 - 改善への姿勢
「もっと効率的にできませんか?」と相談したときに、柔軟に工夫してくれる会社は高く評価されます。 - コミュニケーション
困ったときにすぐ相談できる関係性かどうか。調達担当は“安心感”を求めています。
こうした総合的な要素が、「この会社なら任せられる」という信頼につながるのです。
3. 下請けからパートナーへ変わる3つの視点
① 提案型の姿勢を持つ
「言われた通りに納める」だけでは、下請けのままです。
例えば、「材料を変えるとコストが下がります」「検査工程を工夫すれば品質が安定します」といった提案は、調達部門にとって非常にありがたいもの。価格競争ではなく“知恵で選ばれる”存在になれます。
② 情報をオープンにする
メーカーの調達部門は、サプライヤーがどんな管理をしているのかを気にしています。工程や在庫の見える化、進捗共有などを積極的に行うと、得意先からの信頼度はぐっと高まります。
③ 小さな改善を積み重ねる
「不良率を0.1%下げました」「納期遅れをゼロにしました」――こうした小さな改善実績は調達部門の評価に直結します。大きな投資をしなくても、日常の工夫を積み重ねることで“改善意欲のある会社”として見てもらえます。
4. 実際にあった事例から
ある部品メーカーは、以前は「値段の安さ」でしか評価されず、価格交渉で毎年苦しい思いをしていました。
しかし、社内で改善ミーティングを重ね、得意先に「こういう改善を進めています」と定期的に提案するようにしたところ、評価が一変。今では「困ったときに最初に相談される会社」としてパートナー扱いを受けています。
調達部門としても、単なる下請けより「一緒に課題を解決できる会社」と取引を続けたいのです。
5. まとめ
下請けからパートナーに変わるためのポイントは、価格だけではありません。
- 提案型の姿勢を持つ
- 情報をオープンにする
- 小さな改善を積み重ねる
この3つを実践することで、得意先にとって“選ばれる会社”になれます。
もし「うちもパートナーとして認められたい」「信頼される調達改善を進めたい」と思われるなら、ぜひご相談ください。調達部門での経験を活かし、御社の強みを引き出すお手伝いをさせていただきます。
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