1. 導入:バイヤー=一人の窓口、と思っていませんか?
「大手メーカーと取引できれば安心だ」
多くのサプライヤーがそう考えます。しかし実際には、大手メーカーの調達部は**「契約」「購買」「企画」**という役割に分かれ、まるで国家の「三権分立」のように機能しています。
この仕組みを知らずに「目の前の担当者=全部を決められる人」と思い込むと、せっかくの技術や提案が埋もれたり、不利な契約を結んでしまうリスクもあります。
2. なぜ「三権分立」なのか? ― スーパーマンに頼らない理由
中小企業の現場では、価格交渉から発注、契約管理、戦略企画までを一人の“スーパーマン”が担うこともあります。サプライヤーから見れば「話が早い」理想的な存在かもしれません。
しかし、大手メーカーがそのスタイルを取らないのは理由があります。
- コンプライアンス:一人が価格交渉と契約承認を兼ねると、不正や癒着のリスクが高まる。
- 持続性:スーパーマンが異動・退職した瞬間に取引が途絶える。
- 透明性:組織として意思決定の正当性を示すためには、役割分担が必須。
つまり「スーパーマン依存」は、サプライヤーにとっては安心感でも、メーカーからすればリスクそのものなのです。
3. 大手メーカー調達部の「三権分立」とは?
大手メーカーの調達部は、次の3つの機能で成り立っています。
① 購買機能(=窓口・執行)
- サプライヤーからの見積もり取得、価格交渉、発注、納期管理などを担当。
- 日常的に接触する最も身近な相手。
- ただし、彼ら「だけ」との関係強化では長期的な取引にはつながりにくい。
② 契約機能(=リスク管理・評価)
- 契約書の作成・承認、コンプラチェック、財務・品質体制の審査を担当。
- この関門をクリアできなければ、いくら良い価格や技術を示しても取引は始まらない。
③ 企画機能(=戦略立案・未来志向)
- 中長期の調達戦略、新技術探索、サプライチェーン全体の最適化を担当。
- 彼らに認められると、単発取引から共同開発や長期パートナーへ発展する可能性がある。
4. 「三権分立」を知らずに痛い目に遭う事例
- 購買だけに注力して消耗:価格交渉ばかり続けても、契約部門で弾かれて取引終了。
- 技術提案が届かない:企画部門に話が届かず、せっかくの新技術が採用されない。
- 契約内容で大損:購買担当者との口頭合意で進めた結果、契約部門のチェック不足で想定外のリスクを負う。
5. RE:GENからの提言 ― 大手と賢く付き合うために
- 相手の役割を見極める
目の前の担当者が購買・契約・企画のどの立場かを理解し、アプローチを変える。 - 多角的に価値を伝える
価格だけでなく、品質・コンプラ対応力・技術力といった要素を総合的に示す。 - スーパーマン依存をやめる
個人に頼らず、組織全体にアプローチすることで、持続的な関係を築く。
RE:GENは、大手メーカーで培った調達の知見をもとに、サプライヤーがどの窓口に、どんな情報を届ければよいのかを整理し、“正しく届く”提案活動を支援します。
まとめ:取引は「人」より「仕組み」
大手との取引は、担当者一人との関係で決まるのではなく、組織の仕組みの中で進んでいきます。
その仕組みを理解し、正しい戦略で臨むことが、サプライヤーにとって最大の武器です。
RE:GENは、その橋渡しをする存在として、サプライヤーと大手メーカー双方にとって健全で持続的な関係構築をサポートします。
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