大企業に学ぶ、調達の真髄。「板」と「粉」の先にある未来
「イタコナ活動」という言葉をご存じでしょうか?
一見すると謎めいたこの言葉、実は大手メーカーの調達部門で長年語り継がれてきた“合言葉”です。
そこには「徹底した原価追及」と「約束を必ず実行する」という、調達の本質が凝縮されています。
今回はその考え方をひも解きながら、今日から中小企業が実践できる調達改革のヒントを紹介します。
「板から粉から」――原価をとことん分解する哲学
「イタコナ」の由来の一つが、**「板から粉から(いたからこなから)」**です。
原材料の板から、製造工程で出る粉に至るまで、コストを徹底的に洗い出し、無駄を削ぎ落とすという哲学を表しています。
例えば日立グループでは、部品の価格を「材料費・加工費・人件費」などに細かく分解し、サプライヤーと共有しながらコスト削減策を探ります。
単に「もっと安くしてほしい」と要求するのではなく、数字をベースにした議論で共に改善する姿勢が重要なのです。
この徹底した原価分析こそが、企業の利益体質を強化し、競争力を支えてきました。
調達のプロが常に意識する「ゴール」が、まさにこの「板から粉から」にあります。
「言ったことを、事にする」――信頼を積み重ねるプロセス
もう一つの「イタコナ」が意味するのは、**「言ったことを、事にする」**という姿勢です。
調達の現場では、会議やメールでさまざまな改善案や提案が出ます。しかし、それを実行に移さなければ、単なる“言いっぱなし”で終わってしまいます。
ソニーの調達部門は、この姿勢を徹底していることで知られています。
サプライヤーとの議論から出たアイデアを必ず検討し、実行可能なら一緒に形にしていく。
さらに、将来の開発計画や技術ロードマップを共有し、**「共に新しい価値を創るパートナー」**として向き合っています。
その結果、サプライヤーは安心して情報や技術を提供し、ソニーの革新を支える土台となっています。
信頼の積み重ねこそが、真のコスト削減と技術革新を生むのです。
中小企業が今日からできること
大企業の事例はスケールが大きく聞こえるかもしれません。
しかし、本質はシンプルであり、中小企業でも取り入れられる工夫があります。
- 「板から粉から」を意識する
→ 単に値段交渉するのではなく、「なぜその価格なのか」をサプライヤーに質問し、コスト構成を理解する。 - 「言ったことを、事にする」
→ 会議やメールで出た改善アイデアを放置せず、小さなことから一緒に実行し、成果を共有する。
こうした一歩を積み重ねることで、調達は単なる“コスト削減”ではなく、会社の未来を強くする武器になります。
RE:GENの視点
私たちRE:GENは、「調達力を、中小企業の武器に。」を理念に掲げています。
机上の理論ではなく、現場に入り込み、一緒に汗をかきながら改善を実行する。
その伴走を通じて、数字に表れる成果と、現場に残る仕組みの両方を提供しています。
もし「うちの調達はもっと良くできるのでは?」と感じているなら、それは大きな可能性のサインです。
ぜひ一度、調達という“隠れた武器”を磨くことを考えてみてください。
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