大手メーカーの調達マンは営業担当や経営者のここを見ている

コラム・調達豆知識

大手メーカーの調達マンは営業担当や経営者のここを見ている

「大手メーカーの調達担当は、結局“安いところ”を選んでいるんでしょう?」

中小企業の経営者や営業担当の方から、こんな声をよく耳にします。

確かに価格は重要な条件です。

しかし、調達の現場に長年いた立場から言えば、値段だけで取引先を決めることはありません。

むしろ「数字に出にくい部分」こそ、調達マンが真剣に見ているポイントなのです。

1. 営業担当の“誠実さ”

見積の数字よりも先に、営業担当の姿勢を見ています。

  • 約束をきちんと守れるか
  • 不具合や問題が起きたときに正直に伝えてくれるか
  • 小さな問い合わせにも丁寧に対応できるか

調子のいい話や過剰な営業トークよりも、誠実で一貫した対応をする担当者の方が長期的に信頼されます。

2. 経営者の“姿勢”

取引先の経営者にも、調達は目を光らせています。

  • 短期の利益だけを追っていないか
  • 従業員や現場を大切にしているか
  • 長期的な関係を築く姿勢があるか

経営者の考え方や会社の空気は、必ず取引にも反映されます。

だからこそ「この会社と組めば安心できる」と思えるかどうかが判断基準になります。

3. 安定供給できる“現場力”

いくら経営者や営業が立派でも、現場が対応できなければ取引は続きません。

  • 品質管理がしっかりしているか
  • 納期を守る体制があるか
  • 突発的な変化にも柔軟に対応できるか

つまり、会社全体の底力を調達は常に見ています。

まとめ:安さだけでは選ばれない

大手メーカーの調達担当が本当に重視しているのは、価格以上の信頼感です。

営業担当の誠実さ、経営者の姿勢、そして現場力。

この3つが揃っている会社は、規模が小さくても必ず評価され、長く付き合えるパートナーになります。

逆に、数字だけを追って誤魔化したり、不具合を隠したりする会社は、たとえ一度は取引できても次のチャンスはありません。

余談:駐車場と休憩室から見えるもの

少し余談ですが、私が調達担当だった頃、訪問先ではこんなところも観察していました。

  • 駐車場の車
    経営者が高級車に乗り、従業員の車が古びたものばかりだと、「利益がどこに流れているのか」と感じてしまいます。
    一方で、経営者も従業員も無理のない範囲で同じような車に乗っていれば、「利益を公平に分かち合っている会社なんだな」と安心できます。
  • 休憩室のタバコの始末
    吸い殻がきちんと片付けられている会社は、現場の規律や整理整頓もしっかりしています。
    逆に、灰皿からあふれていたり床に散らかっていると、「細かい部分をおろそかにする文化」が透けて見えるのです。

こうした観察ポイントは帳簿にも見積にも出てきませんが、会社の空気や姿勢を映し出すサインとして、調達担当は意外と気にしているものです。

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