〜休みの日も“調達脳”は止まらない〜
導入:万博に行っても職業病が出るバイヤー
「もうすぐ終わる万博、せっかくだから行ってみよう!」——そんな気持ちで足を運んだ休日。
しかし気づけば、展示やイベントの楽しさよりも、裏でどうやって成り立っているのかばかり気になってしまう。
これは、ものづくりに携わるバイヤーなら誰しも経験がある“職業病”ではないでしょうか。
世界中の文化が一堂に会する万博は、表向きは「文化の祭典」。
でも、バイヤーの目には「サプライチェーンの祭典」として映るのです。
1. 世界のサプライチェーンが透けて見える瞬間
各国パビリオンでの食事やグッズ。普通の来場者なら「珍しい!」と楽しむところですが、バイヤーは違います。
ヨーロッパ館でビールを買ったとき、瓶の裏には「Made in China」。
「えっ、なぜここで中国製?」と思わずニヤリ。
コストや輸送効率を考えれば合理的ですが、せっかくの“ヨーロッパ体験”が一瞬で調達の現実に引き戻してくれます。
万博は「異文化体験」と同時に「グローバル調達の縮図」を見せてくれる場でもあるのです。
2. キャストの動きに“改善力”を感じる
行列を整理するスタッフや、フードコートで動くキャストたち。
一般来場者が「丁寧だな」と思うその姿を、バイヤーは「改善活動」として観察します。
「この配置ならスループットが上がるな」
「作業の標準化ができているから混乱がない」
工場や物流センターの現場改善を見慣れた目で、つい人員配置や動線を分析してしまうのです。
3. 展示の裏にある調達ストーリーを想像する
豪華に見える展示や映像設備も、裏側には必ず制約があるはず。
「この大型モニターは購入かレンタルか?」
「資材は現地調達?それとも持ち込み?」
展示品そのものよりも「どうやって準備したのか」「どんなコスト構造か」に意識が向く。
バイヤーにとって万博は、まさに“裏側を想像する力”を鍛える研修の場でもあります。
4. 万博は究極のリスクマネジメントの現場
数千万人が訪れる万博では、食材や物販を切らさない仕組みが欠かせません。
もし輸送が遅れたら?もし一社依存だったら?
冷蔵物流の安定性、代替ルートの確保、在庫リスクと機会損失のバランス。
どれも日々の調達業務で直面する課題そのものであり、バイヤーにとってはリアルケーススタディです。
5. 休みの日まで“調達脳”は止まらない
「純粋に楽しめばいいのに」と家族に言われながらも、
つい「人の流れ」「在庫管理」「調達ルート」を気にしてしまう。
休日のはずなのに、職業病が顔を出すのはバイヤーあるある。
でも裏を返せば、それだけ調達の視点が体に染み付いているということ。
バイヤーは、遊んでいるときでさえ「仕組みの目線」で世界を見てしまう生き物なのです。
まとめ:バイヤーはどこでも学んでしまう
万博を歩きながら「調達目線」で見てしまうのは、一般の人には理解されにくいかもしれません。
でもそれこそが、日々の仕事を支える力であり、会社を守る強みです。
要するに、バイヤーは休みの日でも学びを拾ってしまう。
万博であれテーマパークであれ、楽しみながらも“つい調達目線で見てしまう”——それが私たちの職業病であり、誇れる強みなのです。
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