【豆知識】値上げ交渉と公取委のルール

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【豆知識】値上げ交渉と公取委のルール

~知っておくと得する調達の常識~

最近「値上げ交渉」がニュースでも話題になっていますね。

「でも実際はそんなに簡単に通るの?」と思ったことはありませんか?

実はここには 公正取引委員会(公取委)のルール が関係しているんです。

今回はそのポイントを、調達の現場感も交えてわかりやすくご紹介します。

1. なぜ公取委が関わるのか

中小企業が仕入先として大手メーカーに部品やサービスを供給する構図は、日本の産業でよくあるケースです。

ただ「原材料費が上がったから価格を上げたい」と思っても、買い手が強すぎると交渉すらできません。

そこで公取委は、「正当な理由があれば価格を上げても良い」 というガイドラインを出して、健全な取引を守ろうとしているのです。

2. ガイドラインの中身

公取委の「価格転嫁円滑化ガイドライン」にはこんなことが書かれています。

  • 原材料費や人件費の高騰は正当な理由になる
  • 買い手が一律に値上げを拒否するのはNG
  • 「買いたたき」と見なされると独禁法・下請法違反になる可能性あり

つまり、サプライヤーの声を「聞かない」という態度は、法律的にもアウトになるのです。

3. 実はメーカー側に「確認義務」がある

ここは意外に知られていないポイントです。

公取委の方針では、メーカー側から「最近コストは上がっていませんか? 値上げは必要ありませんか?」と仕入先に確認することが推奨 されています。

そして、そのやりとりを「記録・証跡として残すこと」まで求められています。

これを知ると「えっ、そんなことまでしてるの?」と驚く方も多いでしょう。

つまり、値上げ交渉は「お願い」ではなく、仕組みとして義務づけられている部分があるのです。

4. バイヤー目線からすると

調達の経験から言うと、バイヤーも「全部断る」はリスクです。

「聞く耳を持たない」だけで法令違反と見なされかねません。

だからこそ、最近は 証跡を残すために「一度は値上げ要望を聞く」 という動きも出てきています。

逆に言えば、供給側はその機会を逃さず「具体的な根拠を提示すること」が大切になります。

5. サプライヤー側が気を付けたいこと

  • 「一律で5%アップ」では説得力が弱い
  • 原材料費や物流費などの内訳を整理して提示する
  • 数字やグラフなど客観的な根拠があると通りやすい

ガイドラインは味方になりますが、結局は「数字で説明できるか」が成否を分けます。

6. RE GENの視点

値上げ交渉は「強気に言えば通る」ものでもなく、「絶対無理」でもありません。

ルールを理解した上で、根拠の整理と対話の準備 が欠かせません。

RE GENでは、公取委のルールに沿いつつ、現場で通じる交渉設計や資料づくりをお手伝いしています。

まとめ

  • 値上げ交渉は法律で「聞く場を持つ」ことが推奨されている
  • メーカー側から「値上げはありませんか?」と確認し、証跡を残すことも重要
  • サプライヤーは、そのチャンスに数字で裏付けた説明を行うことがカギ

👉 詳しくは公取委の「価格転嫁円滑化施策」ページもチェックしてみてください。

知っておくだけで、交渉の景色が変わりますよ。

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